📝 この記事の要点

  • 国内で唯一、モンゴル・カザフスタン等の新興国不動産案件を扱う
  • カントリーリスクを加味すると、海外案件の優位性は限定的
  • 最低投資額は10万円〜と、比較対象の中でも高めの水準(Jointo αと並び最高水準)
  • 2025年、カザフスタン案件で運用報告書の記載に不備があったことが判明(下記参照)。行政処分はないが、開示の透明性という観点で留意が必要

基本データ

項目 内容
分析対象件数 100件(国内52件・海外48件)
平均想定利回り 9.25%
平均運用期間 19.3ヶ月
利益原資の構造 キャピタルゲイン型52件・インカムゲイン型40件・ハイブリッド型8件
対象国 日本52件・モンゴル26件・カザフスタン14件・米国5件・スリランカ3件
最低投資額 10万円〜(1口10万円単位)

💡 この記事の分析データについて

この記事の分析は、2026年7月時点の初期リサーチで収集した100件のデータに基づいています。上記の件数・平均値は、その時点での分析対象の範囲を示すものです。

なお、当サイトの運営会社比較利回りランキングなどの横断比較ページには、後述する開示の透明性に関する編集判断により、TECROWDを掲載していません。この記事は比較ページとは独立した分析記録として公開しています。

はじめる前に確認したいポイント

項目 内容
中途解約・換金 原則不可(申込後8日以内はクーリング・オフによる契約解除のみ可能)
出金口座 楽天銀行(JRE BANK含む)指定なら振込手数料はTECROWD負担。他行の場合は投資家負担
募集方式 一般募集は先着順。ファンドにより先行抽選枠(完全無作為抽選)を設ける場合あり
会員ランク制度 あり(会員クラス制度。上位クラスは先行抽選枠に参加可能)

他社と比べ最低投資額が10万円〜とやや高めである点は、少額から試したい人にとっては留意点になります。

運営会社について

上場有無だけでなく、運営会社の実態が分かる情報をまとめました。非上場企業は法的な開示義務がないため「非公開」の項目が多くなりますが、これは信頼性が低いという意味ではありません。

項目 内容
運営会社名 TECRA株式会社(非上場)
代表者 新野博信氏(オリックス株式会社で約24年間不動産ファイナンス業務等に従事後、2021年TECRA入社、2024年4月代表取締役社長就任)
資本金 1,566万円
従業員数 5〜12名程度(情報源により差異あり、正確な最新人数は確認できず)
直近売上高 約78億円(2025年4月期、官報決算公告ベース、前年比+30.1%)
監査法人 非公開
資本関係 独立系。2022年にインベスコアジャパンとの資本提携を発表したが、現在は資本関係なしと説明されている(人的関係も2025年7月に解消)
行政処分歴 調査した範囲では確認できず。ただし2025年のカザフスタン案件に関する情報開示の不備については、本記事内で別途詳述しています(下記参照)
訴訟・係争情報 調査した範囲では確認できず
社員クチコミ(参考情報) 転職会議 2.50点(回答1件)※回答数が極めて少なく参考程度に留めてください。OpenWorkは投稿なし

情報源:官報決算公告データベース・公式サイト会社概要・転職会議等の公開情報(2026年8月時点)。非上場企業のため、財務詳細の多くは公式には非公開です。

国内で唯一、新興国不動産を扱うプラットフォーム

比較対象の中で、TECROWDは唯一、モンゴル(ウランバートル)・カザフスタン(アルマトイ等)・スリランカ・米国といった海外不動産案件を継続的に扱っています。海外案件は48件と全体の約半数を占め、生の想定利回りだけを見ると国内トップ層に匹敵する水準の案件(モンゴル案件で年利15%台等)も存在します。

カントリーリスクを加味すると評価は変わる

当メディアの分析では、投資対象国のリスク(為替変動・法規制・送金リスク等)を加味した調整を行っています。この調整後で見ると、海外案件の総合的な資金効率は、同水準の生利回りを持つ国内キャピタル型案件には及ばないという結果になりました。海外案件48件の総合スコアは、国内案件全体と比較して一貫して低い水準にとどまっています。

これは「TECROWDの海外案件が劣っている」と断定するものではなく、生利回りの高さだけでなく、投資対象国に由来するリスクも合わせて評価する必要がある、という点を示すデータです。

⚠️ 2025年、カザフスタン案件で判明した情報開示の不備

2025年6月、業界メディア「楽待新聞」が、TECROWDがカザフスタンで組成したファンドについて調査報道を行いました。当メディアが記事原文を確認した内容は以下の通りです。

  • カザフスタンでは14ファンド(累計約80億円)を組成しており、うち高級住宅街「KHAN VILLA」関連が6ファンド・募集総額38億円超
  • 2025年3月、投資家が現地訪問したところ、計画されていた70棟の建物のうち実際に建設されていたのはモデルハウス1棟のみで、残りは更地のままだった
  • TECRA株式会社は、建設せず現地デベロッパーに更地のまま売却し、その代金を償還原資に充てたと説明。償還・分配自体は予定通り行われたとしている
  • 同社は2025年11月の公式見解で「計画変更に関するご説明や一部レポートの記載内容に不十分な点があったことは事実」と情報開示の不備を認めている

この件について、行政処分(業務停止命令等)は確認されていません。会社側は「配当遅延・元本割れは一度も発生していない」と説明していますが、運用報告書の記載が実態と異なっていたという事実自体は、情報開示の透明性という観点で軽視すべきではないと当メディアは考えます。当メディアは今後の動向を注視し、続報があれば追記します。より詳しい時系列はこちらのケーススタディでまとめています。

情報源:楽待新聞(2025年6月8日)楽待新聞(2025年6月8日・続報)TECROWD公式見解(2025年11月)

TECROWDの資金効率×構造タイプ分布(n=100) TECROWD 100件の資金効率スコア(縦軸・対数)×構造タイプ(横軸)分布。3カテゴリに分散しており、他社に比べ構造タイプの偏りが小さい。

上図の通り、TECROWDは他社と異なり、純粋インカム型・ハイブリッド型・純粋キャピタル型の3カテゴリに件数が分散しています。これは利益原資の構造という観点で、比較対象の中でもバランスの取れた分布と言えます。

TECROWDの利回り×運用期間分布(アセットタイプ別・n=99) TECROWD 99件の利回り×運用期間分布。色はファンド名から判定した物件用途を示す(共通フォーマット)。

このアセットタイプ分類は、TECROWDでは99件中65件(66%)が分類不能でした。海外案件はファンド名が現地語・プロジェクト名主体であることが多く、キーワード判定になじまないためです。分類できた34件の範囲では中リスク(オフィス・商業)が23件と最多でしたが、6割超が判定不能である以上、この結果を全体の傾向として一般化はできません。

他社との位置付け

平均利回り9.25%・平均運用期間19.3ヶ月は、比較対象の中では中間〜やや控えめな水準です。ただし他社と異なり国内外に案件が分散しているという構造上のユニークさがあり、単純な利回り・期間の比較だけでは捉えきれない特徴を持ちます。

このプラットフォームのデータが参考になりやすい投資家像

  • 国内不動産だけでなく、新興国不動産への分散も検討したい人
  • 為替・カントリーリスクを理解した上で、高利回り案件との付き合い方を判断できる人
  • 利益原資の構造(インカム/ハイブリッド/キャピタル)がバランスよく分散した選択肢を求める人

まとめ

TECROWDは、国内不動産クラウドファンディングの中で唯一、新興国不動産への分散投資という選択肢を提供する点がユニークです。ただし海外案件の高い生利回りは、カントリーリスクを考慮すると相応の割引が必要になるというのが、実データからの分析結果です。これは当メディアの独自分析であり、投資の推奨を意味するものではありません。